ヘビ博士は目立つのが好きだった。目立ちたくて、科学者になったのだ。たくさんすごい発明をして、大金持ちになった。そして、月に大きな家と研究所を建て、住み始めた。
でも、月には自分を褒めてくれる人がいなかった。それで、ヘビ博士はロボットを作り、カエルという名前を付けた。カエルは博士の考えを完全に理解して、「さすが博士! 天才ですね」と毎日褒めた。
しかし、時が過ぎ、年を取ると、ヘビ博士もすごい発明ができなくなった。
ある日、博士は「最後に地球を爆発させるミサイルを造る!」と言い出した。
カエルは、少し考えてからこう言った。
「ミサイルを造るのは結構ですが、それで目立つことはできませんよ」
「何! みんな、わしのことをすごいと思うだろう?」
「いいえ。ミサイルを造っても、実際に爆発させてみなければ、だれも信じません」
「じゃあ、爆発させればいいじゃないか」
「そんなことをしたら、だれもいなくなってしまいます」
博士は腕組みをして「半分じゃつまらないし……」と考え込んだ後、
「そうだ。おまえがいるじゃないか!」と言った。
「はい。わたしはいます。でも、わたしもやがて壊れて止まります」
「ん~、それもさびしいなあ」
「いいアイディアがあります。ミサイルで地球を爆発させた後、月に大きな博士のお墓を立てましょう。そして、そこに『地球を爆発させたのは、ヘビ博士だ』と書いておくのです。そうすれば、将来、宇宙人がやってきたとき、ヘビ博士が地球で一番すごい科学者だったと分かります。博士は宇宙一目立てます」
「ほう、宇宙一か。それは良いアイディアだ! さすがおまえはわしのことをよく理解している」と博士は飛び上がって喜んだ。
「はい、ロボットは作った人に似ると言いますからね。しかし、一つ問題があります。月には墓石になるような立派な石がありません」
「たしかに。では、地球に立派な墓石を届けてくれるように頼んでおいてくれ」
「はい、わかりました」
その日から、博士は一生懸命ミサイルを造り始めた。やがて地球からのロケットが到着した。その頃には、ミサイルはほとんど出来上がっていた。しかし、ロケットでやってきたのは墓石ではなく、警察だった。
翌朝の新聞は、地球を守った正義のロボットが一面を飾った。
(おわり)
先ほど読みました、お疲れ様!ヘビ博士は監獄で正義のロボットの発明者として有名になったかもしれません。。。
ReplyDeleteコメントをありがとうございます。そうですね。きっと監獄の中で、「どうだ。わしが造ったロボットはすごいだろ!」と自慢したでしょうね。
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